鋼記録

公認会計士の試験勉強のライフログをメインに、映画の感想とゲームログを時々更新する(予定の)ブログ。

ドラッグ・ウォー 毒戦(シネマシティ)

★★★★(値段以上の大満足)。

http://filmarks.com/pc/detail/56110/1535019

 

 

以下ネタバレ。

 

 

 

 

 

Twitter経由で見ようと思いやした。

・画面から伝わってくる異常な熱量、撒き散らされるエネルギーが尋常じゃなかった。高速展開と画面の疾走感。最後の滅茶苦茶な銃撃戦のクライマックス。

・聾唖兄弟が良かった。

・ジャン警部を中心とした捜査チームの執拗というか何かに取り憑かれてるかのように次から次へと捜査をしていくのが圧巻。覚醒剤の原料を運ぶトラックを追跡していた地方の刑事も車は汚れまくっていて休憩になった瞬間に車から飛び降りて立ちションをするシーンとか。おとり捜査のためにヤクをスニッフしてブッ倒れるも氷水に入って復活とか。ホントにこれ正しい復活方法なのか知らんけど。あとちゃんと睡眠時間を削ってるシーンも随所にあったり。

・ただ、ずっと高速展開ながら緻密に捜査をしていく印象だったんだけど終盤のハハを逮捕&工場突入シーンは割りと雑に突入して反撃を食らって失敗したりもしてるけど。まあ最後のシーンは仕方ないとして。

・序盤の体内に覚醒剤を隠し持っているのを取り出すシーンはなかなか(笑)。

・あと捜査協力をすることになったテンミンが裏切るのかどうかってのが大きな肝になってるとは思うんだけど。「死刑になりたくねー」と泣き付いたり、ヤク中のチャンとの交渉時に腕を叩いて止めたり、と何を考えてるのか、どこまでが芝居なのかよく分からなくなってくる。でも要はこの人、行き当たりばったりでその場の感情を優先させちゃうタイプだよね。「死刑になりたくねー」で協力。「このままヤクをスニッフさせ続けたらエライことになっちまう」で止める。「俺を良くしてくれた聾唖兄弟を生かしたいなあ」で逃走用の地下道の存在を教えない。「やっぱ死刑になりたくねー」で真の黒幕を喋っちゃう。「でもやっぱ世話になった親同然の人を売りたくねえ」でおとり捜査の件をバラしちゃう。「やっぱ死にたくねー」で投降。「それでもやっぱ死刑にになりたくねー」で死刑執行中も情報を提供(真偽は不明)。

・とはいえ、ジャン警部を含めた捜査チーム全員がテンミンに振り回されて結果死んでしまう訳だからファム・ファタール的存在と言って良いのかな。兄ちゃんだけど。まあ若干謎めいては居るかな。

・黒幕の7人はその辺のオッサンオバチャン、爺って感じなのが逆にリアルな気もした。

・あと人物の二面性というか見た目の印象と実際の人物の違いが沢山あったのも面白かった。テンミンの何を考えてるのか分からないのと行き当たりばったりなのもそうだし。ヤク中のチャンも最初は雰囲気たっぷりのいかにもな狂気キャラっぽかったのに実はただヤク中の躁鬱が激しいだけの駄目人間だったり。超大物感を漂わせていたチェンビャオも、実は真の黒幕の7人の使いっ走りでヘコヘコするとか。その逆に聾唖兄弟なんてずっと「あー」「うー」と言ってテンミンの家族の死を哀しみお金を焼いて弔いの儀式をしたりして「生きるために仕方なく法を犯してる弱い立場の善良な人」だったのが、突入シーンで一転して無表情に二丁拳銃でバリバリ撃ちまくって武装警察を殺しまくるキラーぶり(笑)。ここが最後の銃撃戦並に痺れた。

・それとは反対にジャン警部を中心とした捜査チームには全くそれが無かったなあ。人数と時間の関係から全員は無理とはいえ。ジャン警部は、無表情で淡々と処理していく基本スタンスからお調子者のハハに成り済ます為に急にキャラを変えたりするけど、それはあくまで捜査のためだしね。その執拗な捜査ぶりが余計に印象的だったな。

・ただ、じゃあそのために家族の話だのを入れれば奥深くなるのかというと大体白けるだろうし。多分。敢えて何も語らないことの方が余計に印象に残ったんだと思う。

・そうそう、そういう意味でもそれぞれの仕事の動機だの家族や自分の人生を語ったり、強引にラブシーンを入れたりってのが一切無かったのは素晴らしかった。

・あと最後の銃撃戦。「これどう考えても撃ち合うぞ」ってあたりのシーンで子供が沢山出てきた時はかなり緊張感走った。「…まさか子供が居るのお構いなしに撃つのか?いやむしろ利用するのか?」って。

・テンミンは送迎バスに乗り込んで子供を盾にしてたけど子供は全員無事保護されてたね。でもあんだけ撃ち合ってんだから死ぬか怪我はするよね(笑)。

・テンミンは死刑はイヤだーってなってたけど、黒幕7人は「捕まったらどうせ死刑になるんだから、警官をブッ殺してでもこの場から逃げてやる!」って感じだったな。やっぱ死刑は犯罪抑止に大して効果は無いんじゃないか、と何となく思った。

(2014年1月24日 シネマシティ)

 

  座席は両サイドどころか自分の横1列は誰も居ない最高の神環境だった。